裁判所の裁判と交通事故紛争処理センターとの違い
1 交通事故紛争処理センターとは
交通事故の紛争を専門に扱う民間の機関です。
高等裁判所が置かれている都市(札幌、仙台、東京など)に本部と支部があり、さいたま市、金沢市、静岡市にも相談室が設置されています。
2 交通事故の紛争処理センターでの手続き
⑴ 対象となるのは、原則として、交通事故のうち、相手方が自動車保険(任意保険)に加入している事案に限られます。
センターが設置された目的が、任意保険会社と事故の被害者との紛争を解決することにあるためです。
⑵ 申立てをすると、センターが嘱託した弁護士が、被害者と任意保険会社との間で、あっせん(話し合い)による解決を試みます。
あっせんが不調となった場合、被害者からの申立てがあれば、審査に移行します。
審査は、もと裁判官、弁護士、学識経験者(大学教授)の3名が担当し、3名の合議により結論が示されます。
審査は、通常1日で終わります。
審査の結果について、被害者には、これを受諾するかどうかを選択する権利があります。
しかし、任意保険会社は、審査の結果に従うこととされています。
このため、審査の結果を被害者が受諾すれば、審査の結果に基づいた賠償がされることになります。
これに対し、裁判の場合は、任意保険会社も不服申立て(控訴)をする権利があります。
被害者側に有利な結果が出ても、裁判では任意保険会社側が控訴することで審理が長引く可能性がありますが、センターの場合は、任意保険会社側は不服申立てができないので、紛争を早期に解決することができます。
3 裁判の手続とセンターの手続きの違い
裁判では、原告または被告からの申し立てにより、送付嘱託(文書の取り寄せ。例:医療機関から被害者の診療録を取り寄せる)、法廷での尋問をすることができます。
慎重な審理をするためですが、その分、時間がかかります。
一方、センターでは、被害者の救済に重点が置かれているため、送付嘱託や尋問の制度はありません。
また、裁判は、被害者、保険会社双方に弁護士が付くのに対し、センターの場合、任意保険会社側は同社の担当社員が担当することが一般的です。
このため、センターのほうが、手続きを早く進めることができます。
法廷での尋問は、相当な準備と時間を要しますが、センターでは尋問がないため、裁判に比べ、被害者の負担が少なくて済みます。
早期の解決を図るのであれば、センターのほうが有利です。
ただし、裁判と同様に慎重な検討が必要な事案であるとされた場合は、センターでの手続きを断られることがあります。
4 おわりに
事故の相手方が任意保険に加入している場合、裁判の手続きと、センターの手続きとを比較して、有利な方を選択できます。
どちらが有利であるかは、事案により異なりますので、専門家である弁護士にご相談ください。



