1 はじめに
相手方が賠償に応じないため、裁判所に訴訟を提起し、勝訴の判決が出たにもかかわらず、相手方からの支払を受けることができない場合があります。
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・・・(続きはこちら) 1 はじめに
相手方が賠償に応じないため、裁判所に訴訟を提起し、勝訴の判決が出たにもかかわらず、相手方からの支払を受けることができない場合があります。
このような場合、相手の給与を差し押さえる方法があります。
2 差押えに必要な書類
給与の差押えを求める場合、申立書のほかに、差押えの根拠となる文書を提出する必要があります。
判決が代表的なものですが、判決以外にも、公正証書や和解調書など、根拠となる文書は複数あり、これら、差押えの根拠となる文書をまとめて「債務名義」と呼んでます。
今回の差押えは、相手方に対し賠償金の支払を命じる判決に基づくものでしたが、判決に基づき差し押さえる場合、執行文といって、「この判決に基づき執行することができる」旨記載された文書を申請し、添付してもらう必要があります。
また、判決が相手方に送達されたことの証明書も必要となります。
3 差し押さえた給与の取得
給与差押えの申立てについて、裁判所がこれを認めると、差押命令が、勤務先と債務者本人に送達されます。
送達から一定期間が経過すると、勤務先から差し押さえた給与を支払ってもらうことができ、これを相手方から支払ってもらうべき金銭に充てることになります。
ただし、多くの場合、給与全てを差押えることはできず、支払給与合計から、税金や社会保険料を控除した金額の4分の1を差し押さえることができるにとどまります。
月々の給与全部を差し押さえたのでは、生活することができなくなってしまうためです。
このため、給与差押えが認められても、判決などで請求できる金額全てが支払われるまでに、一定の時間がかかることになります。
また、他にも給与差押えを求めた債権者がいる場合、上記4分の1の給与を債権者どうしで分けることになるため、さらに時間がかかることになります。
4 給与差押えの制限・限界
上記のとおり、給与差押えの場合、差し押さえることができる範囲に制限がありますが、もう一つ大きな問題があります。
それは、債権回収が終わる前に債務者が退職してしまうと、以後の支払を受けることができなくなってしまうことです。
退職してしまった場合、退職までの給与が支払われた時点で、差押え手続も終了となってしまいます。
5 おわりに
給与差押えを行うには、上記以外にも様々な書類が必要となります。
裁判所のホームページにも記載されていますが、ご不明な点があれば、弁護士にお尋ねください。