裁判と示談の違い

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1 交通事故に限らず、紛争が生じた場合、いきなり裁判となるのではなく、まずは当事者間での協議から始まることが多く、また、交通事故の事件では、裁判までに至らずに解決に至っているものが数多くあります。
  
2 いきなり裁判とせずに、協議から始めるのは、紛争をなるべく避けたい、穏便に解決したいということももちろんありますが、やはり、裁判となった場合、時間と費用を要することがその理由ではないかと思います。
  昨今は、新型コロナの流行を契機として、裁判所にでかけなくても、電話やウエブ会議で裁判手続を進めることができるようになってきましたが、それより前の時期では、裁判所に出かけるだけでも時間と費用を要する状態でした。

 

3 これに対し、示談の場合は、多くは文書と電話でのやりとりで協議を進めるため、出かける時間や費用はかかりません。
  また、裁判所での手続ですと、手続を進める日(期日)が定められ、多くの場合、期日は1か月に1回程度の割合で指定されるため、手続の進行が制限されることとなりますが、示談の場合は、期日に縛られずに、双方が柔軟に進行することができるため、当事者の合意ができれば、裁判よりも早期に解決することができます。
  さらに、合意の際、支払をすることとなる当事者は、合意した金額について支払うことができるかどうかを考えた上で合意するのが通常ですので、合意したにもかかわらず、支払をしないという事態を避けることができます。

 

4 もっとも、話し合いができなければ、裁判によらざるを得ません。
  裁判には、当事者の意向にかかわらず、第三者が公的な見解(結論)を示し、これを確定させるという機能があるためです。
  その一方で、裁判所は、あくまで「結論」を示すだけであって、例えば、判決が「〇〇円を支払え」との内容であった場合、判決後、このとおり支払われるかについては、判決では全く考慮しません。
  また、支払うべき相手方に財産がなければ、「ない袖は振れない」のことわざのとおり、判決があっても支払を受けられないということもありえます。

 

5 このため、まずは話し合いから進め、どうしても話し合いができない場合に裁判に進む、との手順になります。
  また、裁判となった場合でも、その中で話し合いができれば、和解といって、一方的な判決によるのではなく、双方の合意に基づく解決をする手続も用意されています。
  話し合いの際、被害者と加害者との二者では合意できなかった者が、裁判所という第三者が関与し、その見解を考慮することで、合意ができることもあるためです。

 

6 私ども弁護士としては、裁判と示談のそれぞれの違い、長所と短所を踏まえた上で、適切な解決ができるよう、お手伝いさせていただければと考えております。

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